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カメラの画角・撮影範囲・被写界深度の基本

「50mmレンズで何が写るのか」「F1.8でどれくらいボケるのか」は、感覚ではなく計算で見通しを立てられます。焦点距離・センサーサイズ・撮影距離・F値という4つの数字から、画角、写る範囲、ピントが合う奥行きがどう決まるのかを、具体的な数値で確認していきます。

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焦点距離と画角の関係

画角とは、カメラに写る範囲を角度で表したものです。遠くにピントを合わせたとき、画角はセンサーの寸法と焦点距離から「画角 = 2 × arctan(センサー寸法 ÷(2 × 焦点距離))」で求められます。センサーの横幅を使えば水平画角、縦を使えば垂直画角、対角線を使えば対角画角です。レンズのカタログに載っている画角は、ふつう対角画角です。

フルサイズ(36×24mm)のセンサーで計算すると、対角画角は24mmで約84°、35mmで約63°、50mmで約47°、85mmで約29°になります。焦点距離が長くなるほど画角は狭くなりますが、比例ではありません。焦点距離を2倍にしても画角はちょうど半分にはならず、広角側ほど焦点距離のわずかな違いで画角が大きく変わります。

同じ50mmでも、水平画角は約40°、垂直画角は約27°です。横位置で撮るか縦位置で撮るかによって、横方向に収まる範囲が大きく変わる点も覚えておくと、構図を考えるときに役立ちます。

  • 24mm:対角 約84°(広角。風景や室内、集合写真)
  • 35mm:対角 約63°(やや広角。スナップ)
  • 50mm:対角 約47°(標準)
  • 85mm:対角 約29°(中望遠。ポートレート)

センサーサイズと35mm判換算

同じ焦点距離のレンズでも、センサーが小さいほど写る範囲は狭くなります。そこで、フルサイズ(35mm判)で同じ画角になる焦点距離に置き換えて表すのが「35mm判換算焦点距離」です。換算に使う係数(クロップ係数)は、フルサイズとそのセンサーの対角線の長さの比で求めます。

対角線の比で計算すると、APS-C(23.5×15.6mm)は約1.53倍、キヤノンのAPS-C(22.3×14.9mm)は約1.61倍、マイクロフォーサーズ(17.3×13mm)は約2.0倍、1型(13.2×8.8mm)は約2.7倍です。たとえばAPS-Cで33mmのレンズを使うと、換算焦点距離は約51mmとなり、フルサイズの50mmに近い画角になります。

ただし、センサーの縦横比が違うと対角画角が同じでも横と縦の写る範囲は一致しません。フルサイズやAPS-Cは3:2、マイクロフォーサーズは4:3なので、換算焦点距離が同じでも、マイクロフォーサーズは横がやや狭く縦がやや広く写ります。換算焦点距離はあくまで画角の目安として使いましょう。

撮影距離から写る範囲を求める

被写体の位置で横・縦に何メートル分が写るかは、遠くの被写体なら「センサー寸法 × 撮影距離 ÷ 焦点距離」でおおよそ求められます。フルサイズに85mmを付けて3m離れた人を撮ると、横約1.2m×縦約0.8mの範囲が写ります。縦位置にすれば横0.8m×縦1.2mとなり、人物の上半身を収めるのにちょうどよい広さです。

集合写真では広角レンズが活躍します。フルサイズに24mmを付けて5m離れると、写る範囲は横約7.4m×縦約5.0mです。同じ5mでも35mmでは横約5.1m×縦約3.4mになり、並ぶ人数が多い場合は横幅が足りなくなることがあります。撮影場所の奥行きが限られているときは、事前に計算しておくと安心です。

近距離では、この簡単な比例式に誤差が出ます。ピントを近くに合わせるとレンズが前に繰り出して、レンズとセンサーの距離が焦点距離より長くなるためです。薄肉レンズの結像式(1/焦点距離 = 1/物体までの距離 + 1/像までの距離)で計算すると、フルサイズ50mmで撮影距離0.5mのとき、写る横幅は約28cmで、比例式で求めた36cmよりかなり狭くなります。なお、ここでいう撮影距離はレンズの先端からではなく、ピント目盛りと同じくセンサー面からの距離です。

被写界深度を決める4つの要素

ピントは厳密には1つの距離にしか合いませんが、その前後にも「ピントが合っているように見える範囲」があります。これが被写界深度です。どこまでを「合っている」とみなすかの基準が許容錯乱円で、フルサイズでは0.03mm程度(対角線の約1/1500)、APS-Cでは0.02mm程度がよく使われます。

被写界深度は、F値・焦点距離・撮影距離・許容錯乱円の4つで決まります。F値を大きく(絞りを絞る)するほど、焦点距離が短いほど、撮影距離が遠いほど深くなり、ピントの合う範囲が広がります。逆にF値を小さくし、望遠で被写体に近づくほど浅くなり、背景が大きくボケます。

数値で見ると違いがよくわかります。フルサイズに85mm F1.8を付けて2mの人物にピントを合わせると、被写界深度は約1.97m〜2.03mのわずか約6cmです。顔の向きによっては、手前の目にピントが合っても奥の目は外れる薄さです。F4まで絞ると約13cm、同じF1.8でも距離を3mに離すと約13cmに広がります。50mm F1.8で2mなら約17cmです。

  • F値:大きいほど深い(例:85mm・2mでF1.8は約6cm、F4は約13cm)
  • 撮影距離:遠いほど深い(例:85mm F1.8で2mは約6cm、3mは約13cm)
  • 焦点距離:短いほど深い(例:F1.8・2mで85mmは約6cm、50mmは約17cm)
  • 許容錯乱円:大きく見積もるほど深い(鑑賞サイズや目的で変わる)

過焦点距離で手前から無限遠までピントを合わせる

被写界深度の奥側の限界がちょうど無限遠に届くピント位置を過焦点距離といい、「焦点距離² ÷(F値 × 許容錯乱円)+ 焦点距離」で求めます。過焦点距離にピントを合わせると、その約半分の距離から無限遠までがピントの合う範囲に入ります。

フルサイズで24mm F8なら、過焦点距離は約2.4mです。ここにピントを合わせると約1.2mから無限遠までが被写界深度に収まり、手前の花から遠くの山までくっきり写せます。風景写真や、ピント合わせの時間がないスナップでよく使われる考え方です。

集合写真でも同じ考え方が使えます。24mm F8で5m先の列にピントを合わせると、約1.6mから無限遠までが被写界深度に入るので、前後に何列か並んでも全員にピントが合います。35mm F8で5mに合わせた場合でも、約2.5mから約180mまでが範囲に入ります。広角で少し絞れば、前後の列のピントを心配する必要はほとんどありません。

センサーサイズとボケ、印刷サイズとの関係

同じ画角・同じF値・同じ距離で比べると、センサーが小さいほど被写界深度は深くなります。APS-Cで56mm F1.8(換算約86mm)を使い、2mの人物を撮った場合、許容錯乱円0.02mmで計算すると被写界深度は約9cmで、フルサイズ85mm F1.8の約6cmより深くなります。小さなセンサーで同じ画角を得るには短い焦点距離を使うためで、「フルサイズの方がボケやすい」と言われる理由です。

許容錯乱円はあくまで目安で、写真をどの大きさで見るかによって適切な値が変わります。L判で見るなら一般的な値で十分ですが、大きく引き伸ばしたり、画面上で等倍に拡大したりすると、計算上は範囲内でもピントの甘さに気づきやすくなります。大きく印刷する予定なら、許容錯乱円を小さめに見積もって被写界深度に余裕を持たせましょう。

印刷に必要な画素数は、用紙の寸法(インチ)× 解像度で決まります。300dpiで印刷する場合、L判(89×127mm)は1051×1500ピクセルで約160万画素、A4は2480×3508ピクセルで約870万画素、A3は約1740万画素あれば足ります。画角・撮影範囲・被写界深度・印刷解像度はそれぞれ計算ツールで確認できるので、撮影前の機材選びや立ち位置の検討に活用してください。

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