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偏差値の仕組みと計算方法をやさしく解説

偏差値は、テストの得点が集団の中でどのあたりに位置するかを表す数値です。計算式自体は短いものの、平均と標準偏差の意味や、正規分布という前提を知っておくと、数字をより正しく読めるようになります。

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偏差値は「平均からの離れ具合」を物差しにした数値

同じ80点でも、平均点が50点のテストと75点のテストでは価値が違います。また、平均点が同じでも、点数が平均付近に集中しているテストと、高得点から低得点まで散らばっているテストとでは、80点の「すごさ」が変わります。偏差値は、この2つの要素、つまり平均点と点数の散らばり具合をまとめて考慮し、得点の相対的な位置を表すための数値です。

偏差値は、平均点をとった人がちょうど50になり、散らばりの目安である標準偏差1つ分だけ平均より高い人が60、2つ分高い人が70になるように作られています。平均より低ければ50を下回ります。異なるテストの結果でも、同じ物差しで比べやすくなるのが利点です。

偏差値の10の差は、標準偏差1つ分の得点差にあたります。標準偏差が12点のテストなら偏差値1は1.2点分、標準偏差が5点のテストなら0.5点分です。点数の散らばりが小さいテストほど、わずかな得点差で偏差値が大きく動くことになります。

また、偏差値50は「平均」であって、必ずしも「真ん中の順位」ではありません。5人の得点が10点、20点、30点、40点、100点の場合、平均は40点なので、40点の人の偏差値はちょうど50ですが、順位は5人中2位です。1人の高得点が平均を押し上げているため、偏差値50未満の人が5人中3人います。分布が偏っていると、偏差値50以上の人が半数になるとは限りません。

計算式と手順

偏差値は次の式で求めます。偏差値 =(得点 − 平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50。標準偏差は、各得点が平均からどれだけ離れているかを平均した値で、各得点と平均の差を2乗して平均し(これを分散と呼びます)、その平方根をとって求めます。

具体例として、5人の得点が50点、60点、70点、80点、90点だったとします。合計は350点なので平均は70点です。各得点と平均の差は−20、−10、0、10、20で、それぞれを2乗すると400、100、0、100、400、合計1,000になります。これを人数の5で割った200が分散、その平方根の約14.14が標準偏差です。

80点の人の偏差値は(80 − 70)÷ 14.14 × 10 + 50 で約57.1、90点の人は約64.1、50点の人は約35.9になります。もう1つ例を挙げると、平均点62点・標準偏差12点のテストで80点をとった場合は(80 − 62)÷ 12 × 10 + 50 = 65、50点なら40です。

  • 1. 平均点を求める(合計 ÷ 人数)
  • 2. 各得点と平均点の差を2乗し、その平均(分散)を求める
  • 3. 分散の平方根をとって標準偏差を求める
  • 4.(得点 − 平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50 を計算する

偏差値から「上位何%」を読むには

得点の分布が、平均を中心に左右対称の釣り鐘形をした正規分布に近いと仮定すると、偏差値から集団内のおおよその位置を読み取れます。正規分布では、平均から標準偏差1つ分以内(偏差値40〜60)に全体の約68%、2つ分以内(偏差値30〜70)に約95%が入ります。

この前提のもとでは、偏差値55以上は上位約31%、60以上は上位約16%、65以上は上位約6.7%、70以上は上位約2.3%、75以上は上位約0.6%が目安です。逆に偏差値40は、それより上に全体の約84%がいる位置にあたります。

  • 偏差値55:上位約31%
  • 偏差値60:上位約16%
  • 偏差値65:上位約6.7%
  • 偏差値70:上位約2.3%
  • 偏差値75:上位約0.6%

正規分布でないときと、偏差値の範囲

上の目安は、あくまで分布が正規分布に近い場合の話です。テストが易しすぎて満点付近に人が集まったり、難しすぎて低得点に偏ったりすると、偏差値と順位の対応は崩れます。人数が少ない場合も同様で、5人や10人の集団で「偏差値60だから上位16%」と考えるのは無理があります。

また、偏差値はよく25〜75程度の範囲で語られますが、上限や下限が決まっているわけではありません。極端な例として、100人中99人が0点で1人だけが100点だった場合、平均は1点、標準偏差は約9.95点となり、100点の人の偏差値は約149.5になります。分布が大きく偏っていると、100を超えたり0を下回ったりすることもあり得ます。

なお、標準偏差の計算では人数nで割る方法(母標準偏差)と、n−1で割る方法(標本標準偏差)があります。偏差値の計算では、集団全体を対象として人数nで割る方法が一般的です。前の5人の例でn−1で割ると標準偏差は約15.81となり、80点の偏差値は約56.3と少し低めに出ます。

母集団が変われば偏差値も変わる

偏差値は「その集団の中での位置」を表すため、同じ実力でも、どの集団で測るかによって値が変わります。たとえば、平均60点のテストAとテストBで、どちらも70点をとったとします。テストAの標準偏差が10点なら偏差値は60ですが、テストBの標準偏差が5点なら偏差値は70です。

模擬試験でも、受験者の層が異なれば同じ得点でも偏差値は変わります。学力の高い受験者が多い試験では、平均点が上がり、同じ点数でも偏差値は低めに出やすくなります。異なる試験の偏差値をそのまま比べるときは、受験者層や試験の性質が近いかどうかを確認することが大切です。

計算ツールで確かめる

「偏差値の計算」に集団の得点をまとめて貼り付けると、平均・標準偏差・各得点の偏差値と順位が一覧で表示されます。知りたい得点を別に入力すれば、その得点がデータの中で何位にあたり、偏差値がいくつになるかもわかります。このツールは人数nで割る母標準偏差を用いています。

平均の考え方そのものを確認したい場合は「平均値(相加・相乗・調和)の計算」も参考になります。偏差値で使う平均は、合計を個数で割る相加平均ですが、成長率の平均には相乗平均、速度の平均には調和平均が適するなど、目的によってふさわしい平均は異なります。

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