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順列と組み合わせの違い:nPrとnCrの見分け方

場合の数の問題で最初に迷うのが「順列と組み合わせのどちらを使うか」です。判断の基準は「選んだものの順番を区別するかどうか」の一点で、ここを押さえれば多くの問題は迷わず式を立てられます。

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階乗 n! は「全部を一列に並べる方法の数」

順列と組み合わせの土台になるのが階乗です。n! は 1 から n までの整数をすべて掛けた値で、n 個の異なるものを一列に並べる方法の総数を表します。たとえば A・B・C の3人を並べる方法は、先頭に3通り、2番目に残りの2通り、最後に1通りなので 3 × 2 × 1 = 6 通りです。

階乗は急激に大きくなります。10! は 3,628,800 で、10人の席順はおよそ363万通りあります。20! は 2,432,902,008,176,640,000 と19桁、トランプ52枚の並べ方を表す 52! は約 8.07 × 10の67乗(68桁)に達します。手計算や一般的な電卓では桁があふれやすいため、正確な値が必要なときは階乗の計算ツールが便利です。

なお 0! は 1 と定めます。「何も並べない方法」は1通りと考えると自然で、こう決めておくと後で出てくる nPr や nCr の公式が r = 0 や r = n のときにもそのまま使えます。

  • 3! = 6、5! = 120、10! = 3,628,800
  • 0! = 1(定義)
  • n! = n × (n − 1)! という関係があり、1つ前の階乗から次を求められる

順列 nPr:選んで「並べる」場合の数

順列 nPr は、n 個の異なるものから r 個を選び、順番をつけて並べる方法の数です。1番目の選び方が n 通り、2番目が n − 1 通り、…と r 個分を掛け合わせるので、nPr = n × (n − 1) × … × (n − r + 1) = n! ÷ (n − r)! となります。

例として、5人の候補者から委員長・副委員長・書記を1人ずつ選ぶ場合を考えます。委員長は5通り、副委員長は残り4人から4通り、書記は残り3人から3通りなので、5P3 = 5 × 4 × 3 = 60 通りです。「AさんとBさんとCさんが選ばれた」という同じ3人でも、誰が委員長かが違えば別の結果として数えます。

同じ考え方で、8チームが出場する大会の1位・2位・3位の決まり方は 8P3 = 336 通り、0〜9 の数字を重複なしで使う4桁の暗証番号は 10P4 = 5,040 通りになります。

組み合わせ nCr:選ぶだけで「並べない」場合の数

組み合わせ nCr は、n 個から r 個を選ぶだけで、選んだ中の順番は区別しない場合の数です。順列では同じ r 個の並び替え r! 通りを別々に数えていたので、それを r! で割れば組み合わせになります。式は nCr = nPr ÷ r! = n! ÷ (r!(n − r)!) です。

先ほどの5人から、役職なしの委員を3人選ぶなら 5C3 = 60 ÷ 3! = 60 ÷ 6 = 10 通りです。順列の60通りは、10通りの「3人の顔ぶれ」それぞれに6通りの役職の割り振りがあった結果だと分かります。

組み合わせには nCr = nC(n − r) という対称性があります。10人から8人を選ぶことは、選ばれない2人を決めることと同じなので、10C8 = 10C2 = 45 です。r が大きいときは小さい方に置き換えると計算が楽になります。また、8チームの総当たり戦の試合数は「2チームの組を選ぶ」ことなので 8C2 = 28 試合です。

  • 5P3 = 60(役職つきで3人を選ぶ)
  • 5C3 = 10(役職なしで3人を選ぶ)
  • 5P3 = 5C3 × 3! という関係が常に成り立つ
  • 10C8 = 10C2 = 45(対称性)

見分け方:入れ替えたら「別の結果」になるか

順列か組み合わせかを判断するには、選んだもの同士を入れ替えてみるのが確実です。入れ替えると結果が変わる(席順、順位、役職、暗証番号の桁の位置)なら順列、変わらない(チームのメンバー、くじで当たった人の集まり、料理の具材の組み合わせ)なら組み合わせです。

くじ引きの例で比べてみます。10人の中から当たりくじ2本で当選者を決めるとき、当たりに区別がなければ 10C2 = 45 通りです。一方、1等と2等のように賞が分かれていれば、AさんとBさんのどちらが1等かで結果が変わるため 10P2 = 90 通りになります。同じ「2人を選ぶ」でも、問題文の条件で答えが2倍変わる点に注意が必要です。

宝くじも組み合わせの典型例です。日本のロト6は1〜43の数字から6個を選び、選ぶ順番は関係ないため、組み合わせの総数は 43C6 = 6,096,454 通りです。1口で1等の数字をすべて当てる確率は約610万分の1になります。1〜49から6個を選ぶ形式なら 49C6 = 13,983,816 通りです。

重複順列:同じものを何度使ってもよい場合

nPr は「一度選んだものは再び使わない」ことが前提です。数字の繰り返しを許す暗証番号のように、同じものを何度でも選べる場合は重複順列になり、各桁で毎回 n 通りが選べるため場合の数は n の r 乗です。0〜9 の4桁の暗証番号なら 10の4乗 = 10,000 通りで、重複なしの 5,040 通りのおよそ2倍です。

同様に、表と裏の2通りがあるコインを4回投げたときの出方は 2の4乗 = 16 通り、サイコロを3回振ったときの目の出方は 6の3乗 = 216 通りです。パスワードの強さを考えるときは、使える文字の種類 n と長さ r から n の r 乗を計算するのが基本で、長さを1文字増やすだけで総数が n 倍になることが分かります。

順番を区別せずに重複を許す選び方は重複組み合わせと呼ばれ、nHr = (n + r − 1)Cr で求めます。たとえば3種類の果物から重複を許して4個選ぶ方法は 6C4 = 15 通りです。問題を解くときは「順番を区別するか」「同じものを繰り返し選べるか」の2点を確認すると、4つの公式のどれを使うかが決まります。

  • 順番を区別・重複なし:nPr = n! ÷ (n − r)!
  • 順番を区別しない・重複なし:nCr = n! ÷ (r!(n − r)!)
  • 順番を区別・重複あり:n の r 乗
  • 順番を区別しない・重複あり:nHr = (n + r − 1)Cr

計算ツールで確かめるときのポイント

順列・組み合わせの計算ツールでは、n と r を入力すると nPr・nCr・n! をまとめて確認できます。r は 0 以上 n 以下の整数である必要があり、r が n を超える入力は「選べない」ためエラーになります。結果は桁あふれしないよう整数のまま正確に計算されるので、大きな n でも末尾の桁まで確認できます。

答えが合わないときは、まず問題文を読み直して「並べるのか、選ぶだけか」を確認しましょう。順列の答えが組み合わせのちょうど r! 倍になっていれば、両者の取り違えが原因です。

この記事で使える計算ツール