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源泉徴収税額表の見方:甲欄・乙欄・丙欄と月額表・日額表の使い分け

給与明細の「所得税」の欄は、国税庁が公表する源泉徴収税額表に当てはめて決まっています。表は一見すると数字の羅列ですが、「どの表のどの欄を、いくらの金額で引くか」という3つの手順さえ押さえれば読み解けます。ここでは令和8年分の表をもとに、欄の選び方から賞与の特例、年末調整との関係までを順に確認します。

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源泉徴収税額表は3種類ある

給与から天引きする所得税(源泉所得税)の額は、国税庁が毎年公表する「源泉徴収税額表」で求めます。中心になるのは、毎月の給料に使う「月額表」、日払い・週払いなどに使う「日額表」、そしてボーナスに使う「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の3つです。表に載っている税額には、所得税と併せて徴収する復興特別所得税の分も含まれています。

税額表は税制改正に合わせて改定されます。令和8年分(2026年1月以後に支払う給与から使用)の表は、基礎控除の引上げなどを反映して改定されました。たとえば月額表の甲欄で扶養親族等が0人の場合、令和7年分までは社会保険料等控除後の給与が88,000円未満なら税額0円でしたが、令和8年分では105,000円未満まで0円になっています。日額表でも同様に、0円となる範囲が2,900円未満から3,500円未満に広がりました。

このように同じ給与額でも年分によって税額が変わるため、表を使うときはまず「何年分の表か」を確認するのが出発点です。前年の表を使い続けていると、毎月の天引き額がずれてしまいます。

  • 月額表:月給、半月ごと・10日ごとの支給、月の整数倍の期間ごとの支給
  • 日額表:毎日支払う給与、週払い、日割りで支払う給与、日雇賃金
  • 賞与の算出率の表:ボーナス(一定の場合は月額表を使う特例あり)

甲欄・乙欄・丙欄は何で決まるか

税額表の欄の選び方は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に出しているかどうかで決まります。申告書を提出している人の給与は「甲欄」、提出していない人の給与は「乙欄」で税額を求めます。申告書は同時に2か所以上へ出すことができないため、掛け持ちで働く人は、主な勤務先の給与が甲欄、それ以外の勤務先の給与が乙欄になるのが一般的です。

乙欄は甲欄よりかなり高い税額に設定されています。甲欄の方は扶養親族等の数に応じた控除が表に織り込まれ、年末調整で1年分の精算もされる一方、乙欄の給与は年末調整の対象にならず、確定申告で精算することを前提にしているためです。たとえば社会保険料等控除後の月給が30万円の場合、甲欄(扶養親族等0人)は7,930円ですが、乙欄は53,600円になります。

「丙欄」は日額表にだけある欄で、日雇賃金に使います。日雇賃金とは、日々雇い入れられる人が、働いた日や時間によって計算され、働いた日ごとに支払を受ける給与のことです。ただし同じ勤務先から継続して2か月を超えて支払われる場合、2か月を超える部分は日雇賃金に含まれません。国税庁は、あらかじめ雇用契約の期間が2か月以内と決められている短期のアルバイトなどについても、丙欄を使うと案内しています。丙欄は税額がかなり低く、令和8年分の日額表では日額9,800円未満なら0円です。

月額表と日額表の使い分けと、表の引き方

どちらの表を使うかは、給与の金額ではなく「支給の区分」で決まります。月ごとに支払う給料は月額表、毎日・週ごと・日割りで支払う給与は日額表です。アルバイトでも月末締めの月払いなら月額表を使い、週払いなら日額表を使います。

表に当てはめる金額は、総支給額そのものではなく、その月(日)の給与から厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料などの社会保険料等を差し引いた後の金額です。通勤手当のうち非課税の部分も含めません。この金額が表の「以上・未満」のどの行に入るかを探し、その行と該当する欄が交わる金額が税額になります。

具体例で見てみます。社会保険料等控除後の月給が300,000円なら、令和8年分の月額表では「299,000円以上302,000円未満」の行に入ります。甲欄の税額は扶養親族等0人で7,930円、1人で6,320円、2人で4,700円、3人で3,080円です。扶養親族等が1人増えるごとに税額が下がっていくのがわかります。

日額表の例では、社会保険料等控除後の日額が10,000円のとき「10,000円以上10,100円未満」の行で、甲欄(0人)は265円、乙欄は1,800円、丙欄は8円です。なお、月額表の乙欄で金額が105,000円未満の場合は、表の行ではなく「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額の3.063%」で計算します(1円未満切り捨て)。月額表の上限を超える高額の給与は、表の末尾に掲げられた算式で求めます。

扶養親族等の数の数え方

甲欄は「扶養親族等の数」が0人から7人までの列に分かれています。令和8年分の表では、この数は「源泉控除対象配偶者」と「源泉控除対象親族」の合計です。家族の人数そのものではない点に注意が必要です。

源泉控除対象配偶者とは、本人(令和8年中の所得の見積額が900万円以下の人に限る)と生計を一にする配偶者で、所得の見積額が95万円以下の人です。源泉控除対象親族には、16歳以上で所得の見積額が58万円以下の扶養親族(控除対象扶養親族)と、19歳以上23歳未満の親族のうち所得の見積額が58万円超100万円以下の人(特定親族)が含まれます。16歳未満の子は扶養親族ではあっても、この数には入りません。

さらに、本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当たるときは、該当するごとに1人を加えます。同一生計配偶者や扶養親族(16歳未満を含む)に障害者や同居特別障害者がいる場合も、該当するごとに1人を加えます。扶養親族等が7人を超えるときは、7人の欄の税額から、超える1人ごとに月額表なら1,610円、日額表なら50円を差し引きます。

「所得」は収入(年収)とは別物で、給与だけの人なら給与収入から給与所得控除を引いた額です。家族のアルバイト収入がどの区分に当たるかは見積額で判断するため、年の途中で見込みが変わったら申告書の異動届を出し直すことになります。判定に迷う場合は勤務先の担当者や税務署に確認してください。

  • 数に入る:源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族(16歳以上)、所得100万円以下の特定親族
  • 1人加算:本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生、家族に障害者・同居特別障害者
  • 数に入らない:16歳未満の子(ただし障害者に当たる場合は加算の対象)

賞与は「算出率の表」で、前月の給与から率を決める

ボーナスの税額は、賞与の額そのものを表で引くのではなく、「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と扶養親族等の数から率を決め、その率を賞与に掛けて求めます。率を掛ける対象は、賞与から賞与にかかる社会保険料等を差し引いた額で、1円未満は切り捨てです。

たとえば前月の社会保険料等控除後の給与が300,000円、扶養親族等が1人の人の場合、令和8年分の算出率の表では「289千円以上346千円未満」の行に当たり、率は6.126%です。賞与600,000円から社会保険料等90,000円を引いた510,000円に6.126%を掛けると、源泉徴収税額は31,242円になります。

ただし、前月に給与の支払がない場合や、賞与(社会保険料等控除後)が前月の社会保険料等控除後の給与の10倍を超える場合は、算出率の表を使わず月額表で計算します。手順は、賞与を6で割った額に前月の給与を足して月額表の税額を求め、そこから前月の給与に対する月額表の税額を引き、その差額を6倍するというものです(前月の給与がないときは、賞与を6で割った額の月額表の税額を6倍)。賞与の計算期間が6か月を超える場合は、6の代わりに12を使います。

例として、前月の控除後給与が40,000円、控除後の賞与が510,000円(10倍の400,000円を超える)で扶養親族等0人の場合を令和8年分の月額表で計算すると、510,000 ÷ 6 = 85,000円に40,000円を足した125,000円の税額が1,190円、前月の給与40,000円の税額が0円なので、(1,190 − 0)× 6 = 7,140円です。

年末調整との関係と、表を使うときの注意

毎月の源泉徴収は、1年間の所得を見込んだ概算の前払いです。年の途中で扶養家族が増えたり、生命保険料控除などの各種控除があったりしても月々の表には反映されないため、年末調整で1年分の正しい税額を計算し直し、天引きした合計との差額を還付または追加徴収します。年末調整の対象になるのは扶養控除等申告書を提出している人で、その年の給与総額が2,000万円を超える人などは対象外です。乙欄で天引きされた副業先の給与は年末調整されないため、確定申告での精算が必要になることがあります。

結果として残った税額や控除の内訳は、年が明けてから受け取る源泉徴収票に記載されます。源泉徴収票の「源泉徴収税額」は、毎月の天引き額の単純合計ではなく、年末調整後の年税額である点も覚えておくと読みやすくなります。

なお、給与ではなく原稿料・講演料や税理士などの報酬を個人に支払う場合は、税額表ではなく別のルールで源泉徴収します。原稿料や講演料なら原則として支払金額の10.21%、同じ人に1回に支払う金額が100万円を超える部分は20.42%です。報酬の種類によって計算方法が異なるものもあるため、対象となる報酬かどうかから確認が必要です。また、令和9年分以後は防衛特別所得税が加わり、税額表もそれに合わせて改められています。

ここで紹介した数値は令和8年分の税額表に基づく一般的な説明です。実際の税額は個々の事情で変わることがあるため、具体的な判断は国税庁の公表資料やタックスアンサー、または所轄の税務署で確認してください。各計算ツールは対象年分を明記しているので、計算したい給与の支払年に合ったものを使ってください(賞与のツールは令和7年分までの算出率の表に基づくため、令和8年の賞与は令和8年分の表で率を確認してください)。

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